[コメント] イヴの総て(1950/米)
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ハリウッドでは何かと作られることの多いバックステージものの一本で、その中でも最高評価を受けている作品。1950年度アカデミーでは当時最多の14に部門にノミネートされ、作品賞以下6つのオスカーを獲得した(後に『タイタニック』(1997)がタイ記録)。 こう言ったバックステージものはハリウッドでは数多く作られている。作っている側は自分の慣れ親しんだ世界だから作りやすいのかもしれないが、これがハリウッドやブロードウェイの風通しを良くしているのも事実。本作でもブロードウェイの一種暗黒面を示している一方、仕事が細分化しすぎた舞台裏にスポットライトを当ててもおり、ブロードウェイ改革の発端ともなったと言う。それだけ本作は当時にとっては痛烈な作品だったといえよう。
一つの映画でアカデミーノミネートされた女優の数は歴代トップと言うだけのことはあり、女優の実力は凄い。マーゴ役のデイヴィスはまさに“怪演”と言うべき。トップに上り詰めた女優の身勝手さと孤独さをよく表していたが、演技と言うより素のまんまじゃないのか?と思わせてしまうのは凄い(この作品観る前に『何がジェーンに起こったか』観てたが、デイヴィスはこう言う役が本当に上手い)。この強烈さにあてられてはいたものの、バクスターも二重性のある女性の落差ある演技を上手くこなしていた。主演クラスの女優たちの上手さが光っていたが、意外なことに、本当に端役に過ぎないモンローが今から観ると、とても目立っていたと思われる(その後の活躍はまさにイヴそのものだから、その先入観もあるのかもしれないが)。
マーゴはタルラー=バンクヘッドがモデルだと言われる。当初候補に挙がっていたロザリンド=ラッセルとクローデット=コルベールが使えず、結局ベティ=デイヴィスが演じたと言うが、まるでデイヴィスのために作られたかのような印象を与えてくれる。
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