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[コメント] グラン・プリ(1966/米)

まずは、モーリス・ジャールらしい音楽(マーチ)。いつもロレンスみたいと思う。レースシーンのスプリットスクリーン(画面分割)は楽しいが、鬱陶しくもある。空撮の見事さとカッティングの妙は特筆すべき。
ゑぎ

 レースシーンはもちろん、ドラマ部分も含めて、本作はカッティングの映画と云うべきだろう。例えば、エヴァ・マリー・セイントの唐突な登場の繋ぎ。こういうぶつ切り感のある潔い繋ぎが随所にあって、カッコいい。

 グランプリレースはモナコで始まり、ベルギー、オランダ、英国、イタリアのモンツァなどを舞台として描かれる。主要人物、まずはレーサー達。ジェームズ・ガーナーブライアン・ベドフォードが、モナコ時点では、同じBRMチーム。ベドフォードの事故と負傷がガーナーの責任とされ、ガーナーはチームをクビになり、三船敏郎に引っ張られる。あと、イヴ・モンタンアントニオ・サバトは同じフェラーリチーム。そして、ベドフォードの妻のジェシカ・ウォルターとガーナーとの関係や、モンタンと雑誌記者のセイントとの恋愛、サバトとフランソワーズ・アルディの若い恋模様などが描かれる。

 恋愛譚の部分では、中盤は、モンタンとセイントよりも、ガーナーとウォルターの関係がメインのプロットに思えるが、後半のモンツァのレース前になって、あるいは、ウォルターがガーナーを離れてからは、ガーナーが画面から消えてしまう。それは、もうガーナーは出てこないのかと思うぐらいなのだ。前半は、彼が主人公と云ってよい扱いだっただけに、このガーナーの不在には違和感を覚えた。終盤はモンタン、セイントと、モンタンの妻の対立や、サバトが和服を着た日本人女性2人にちょっかいを出し、心が離れるアルディなんかも描かれる。

 クライマックスのモンツァのレースで、レーシングカーが、ガードレールを突っ切り、宙に舞うショットについては、いいところまで行っていると思うが、これ、俯瞰じゃなかったら良かったのにとも思う(誰の乗るレーシングカーか、ということについては伏せておく)。やっぱり、『レッドライン7000』のクラッシュシーンには勝てないと思ってしまった。また、ラスト、無人のレース場の、捨てられた新聞がいっぱいのスタンドが映るという突き放した演出はいい。最後まで見ると、矢張りガーナーが主人公だったのだと感じるのだが、ちょっと、とって付けたようにも思う。

(評価:★3)

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