[コメント] 白夜(1957/伊=仏)
映画を見終った人むけのレビューです。
これ以降の文章には映画の内容に関する重要な情報が書かれています。
まだ映画を見ていない人がみると映画の面白さを損なうことがありますのでご注意下さい。
「あなたねえ、私、晩御飯なのだから邪魔しないでくれる.あんたが見つけたのあんたが食べたら.あっち行こうっと」あのワンちゃん迷惑そうに何処かへ行っちゃった.
「ここは私たちのねぐらなの.人間のあなたが入ってきちゃ駄目じゃない.ケコ、コケコ」鶏さんは大騒ぎ.あの女の子に鳥小屋に入ってこられて、やっぱり迷惑よね. と言うことで、ワンちゃん、鶏さんが迷惑、迷惑が描かれているみたいだけど、ワンちゃんと鶏さんの辞書はないから、仕方がない、大辞林で迷惑を引いてみよう.
1.他人のしたことのため、不快になったり困ったりすること.
2.どうしてよいか迷うこと.
3.困ること.
いつもの形、1、2、3それぞれの対比を考えておきましょう.
1.に対しては親切が当てはまりそうですね.
2.に対しては決断すること.
3.が少し難しいけれど、困らないことを考えてみると、例えば約束を破られると困る、約束を守る、と言うことが困ることの対比になるみたい.と言うことで、これだけ書けばこの映画のほとんどを言い表せれたと思うのですが.
親切、と言うのがけっこう難しいもの.親切ごかし、あるいはありがた迷惑とか、わずかな事で反対の感情に変化してしまう.そうした微秒な心の綾が、男、女それぞれの心の変化の中に織り込んで描かれていると言えます.
ダンスホールの光景が一番分かりにくいのかもしれませんが、一度もダンスを踊ったことのない彼女、始めは引っ込み思案から迷惑がり、ありがた迷惑そうに踊ってみて、最後は楽しい体験になるのですね.
今一人、娼婦の女にも触れておきましょう.あの男にどうも気があるみたいなこの女、流し目遣いで付きまとう.口笛を吹いてタバコに火をつけろ、つまりは親切にしろ、迷惑そうに火をつける男.そして喧嘩さなか女はこう言うこのですよ.「私は誰にも頼らずに生きてきた」、誰にも迷惑をかけずに生きてきたと.
まとめましょう.旋律は迷惑.その対比として親切、決断、約束を守ることが描かれました.「私、好きな人が居るの.だから、私を好きになっては駄目よ」、男にとってこれは女との約束.自分の行為は親切、約束を守って彼女のことを諦めることを決断しました.これが白夜の出来事の結末であり、そこに正しい愛がある.もっと簡単に言ってしまえば、相手に迷惑にならないように接すること、それが愛.さりげなく他愛なく描かれています.
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雌犬でも雄犬でもどっちでもかまやしないと思って雌犬にしたけれど、他のコメントを読んでたら立ちしょんしてるとあったかったから、確かに雄犬らしい.気にしないでおこう.
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