コメンテータ
ランキング
HELP

[コメント] ティファニーで朝食を(1961/米)

十数年ぶりに鑑賞して評価上げる。超駄作だと思ってたけど、普通の駄作だった。
ペペロンチーノ

**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。

これ以降の文章には映画の内容に関する重要な情報が書かれています。
まだ映画を見ていない人がみると映画の面白さを損なうことがありますのでご注意下さい。







割と最近、村上春樹訳の原作を読んで、当然映画は知ってたから、そのあまりの根底からの違いっぷりに驚愕して、これはもう一度映画を観なければ!と思っていたところへタイミングよくデジタルリマスター版が公開されたので、いそいそと劇場へ足を運びましたよ。

原作と映画は別物なんでね、比較しちゃいけないとは思ってるんだ。だけど、あまりにもヒドい。

原作は男(映画ならジョージ・ペパード)視点なんです。忽然と姿を消した奔放な女性(オードリーね)の消息らしきものを数年ぶりに聞くところから物語は始まる。「日本から来た紳士(本当はカリフォルニア出身)」と呼ばれる(あるいはジャップと呼ばれる)ユニオシ氏からの情報だとバーのマスターは言う。街中みんなが、気まぐれで可憐で天真爛漫なホリー・ゴライトリーが好きだった。彼女は誰のものにもなっちゃいない。雨の中で抱き合ったりなんかしていない。ましてや原作にティファニーなんか出てこない。ティファニーで朝食ってのはただの比喩だ。店先でパン食うなよ。田舎のコンビニにたむろしてるヤンキーかよ。だいたいカポーティ自身は「映画化するならマリリン・モンローで」って言ってたそうじゃない。

「消えた女の思い出話=喪失の物語」を「奔放な女が真の愛に目覚めるまで」という物語に改変してしまった映画。 ところが、所々、細かいエピソードだけ原作通りなんだよ。最上階でカメラマンやってるユニオシ氏とか。 あー、これ、アレだ。連載中の人気コミックの実写化みたいなもんだ。『テルマエ・ロマエ』とか『デトロイト・メタル・シティ』みたいな。 原作の本質じゃなくて上っ面だけつまみ食いするパターン。

そう考えると、冒頭、タクシーから降りてティファニーの前に立つオードリーの描写は、堂々「アイドル映画」の風格がある。まあ、アイドル映画ってこんなもんだよね。

なんか、こう書くと原作と違うから評価低いみたいに見えるけど、そうじゃなくて、普通にツマラナイんだ。この映画を魅力的に見せている功労者は、ジバンシーとヘンリー・マンシーニだと思う。

(13.09.29 新宿ピカデリーにてデジタルリマスター版で再鑑賞)

(評価:★2)

投票

このコメントを気に入った人達 (0 人)投票はまだありません

コメンテータ(コメントを公開している登録ユーザ)は他の人のコメントに投票ができます。なお、自分のものには投票できません。