[コメント] パパは、出張中!(1985/ユーゴスラビア)
マリクが知事にバトンを渡すエピソードがあるが、そういったエピソードがチトー政権下のユーゴを良く表していると思う。全てが詰まった『アンダーグラウンド』より先に観るべきだったと後悔・・・
この映画と題材が似ていると思うのがシュレンドルフの『ブリキの太鼓』。ただ、『ブリキの太鼓』の方が狂気に満ち溢れ、画面から伝わるものが大きい。クストリッツァはこの作品でカンヌを制するが、のちに再びカンヌを制した傑作『アンダーグラウンド』の方が漲る力のある作品であり、監督自身の訴えも悲痛だった。
しかし、この作品も悪くはないので、『アンダーグラウンド』よりこちらを先に観るべきだったと少し後悔している。全編に暗さが漂う雰囲気は第2次大戦後間もないという時代を表しているように思え、マリクが夜中にふらふらと街を歩くエピソードで特にその暗さが効果的だった。加えて、チトー政権下のユーゴスラビアの状況のイメージがしっかりと頭に残り、日本からしたら馴染みのない国の歴史の勉強になる。歴史の中のある短い期間を描いた映画として佳作であるのが、クストリッツァは『アンダーグラウンド』では長い期間においてのユーゴの歴史を見事に包括させてしまったので、やはりこの作品を後に観ると物足りなさが残る。
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