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[コメント] 大脱走(1963/米)

自由である事をこうまで主張しなきゃいけない時代。そのうちなくなってしまうんじゃないかって危機感があったんだろうね
torinoshield

**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。

これ以降の文章には映画の内容に関する重要な情報が書かれています。
まだ映画を見ていない人がみると映画の面白さを損なうことがありますのでご注意下さい。







よく1960年代は狂気の時代と言われる。人はモラルも時代と共に格段に進歩してきたと思うが武器はそれ以上だった。1960年代が狂気の時代であったのはこのバランスが狂っていたからだ。モラル以上に殺傷能力が上回っていたんだと思う。例に出して悪いが現在のフランスが核兵器を持っているのとナチスが核兵器を持っているのでは危険度がありえないほど違う。違いはモラルのレベルなのだ。

この映画はそういう武器全盛時代にあってモラルの最大武器である自由というものを具体的に示した作品なのだ。この時代、ソビエト(ロシア)の攻勢が激しく武器では正直負けていたアメリカがソビエトの管理社会にたてつく自由の国、アメリカを全面に出していた時代だった。たとえ最終的には自由を求める側が武力に負けたとしても作品として圧勝する思想。これはさすがにソビエトに負けるかも…でもやっぱり自由は美しい、という未来を悲観しながらにして勝ちを宣言したい気持ちがいっぱいだ。

ただし作っている側はそういう政治思想的な感覚で作ってはいないだろう。あの当時の空気を吸っただけで恐らく目をつぶっていてもこういう方向に物語が進んだのだろう、それが他の選択肢など1%もないという時代背景で。(当時はキューバ危機時代)

(評価:★4)

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このコメントを気に入った人達 (2 人)荒馬大介[*] Orpheus

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