[コメント] ナビィの恋(1999/日)
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例えば占いでサンラーが追放されたり、ナビイがオジィを捨ててサンラーについてったり、西田尚美に振られる島の人とか、そういうことにちょっと毒がなさすぎるような気がする。もっと葛藤があったり、ドロドロしたものがきっとあるんではないかな。特に島てのは、とても小さく閉鎖された空間なわけでしょう。その中であっては、より愛憎は消化されずに濃密にひしめいたものになるだろうし、でもそれを抱えながら生きてもいかなければならないという葛藤というか。そういうのもきっとあるんだと思うのだけど。 もともと西田尚美が島を出たってのも、そういうのがイヤだっていうのもあるんでしょう。
もちろん、沖縄の島特有の条件からもたらされるおおらかさ、みたいのもあるんでしょう。でも、それと同じように、いやむしろ、それがあるからこそ、特有な条件からもたらされるドロドロというかギラギラというか、そういう部分もきっとあるんだと思うんです。
なんかまだ一回しか行ってないんで、それだけで沖縄のこと語るのはどうかと思うけど、この夏に沖縄に2週間くらい滞在してみてなんとなく思ったのは、とても感情表現が豊かだということ。はっきりした人が多いと思った。作り笑いしてると見透かされる。だから、その分後ひきづるみたいのも少ないように思うんだけど、そういうはっきりした部分がオブラートに包まれたままだったような気がする。
ナビイがサンラーについて島を出たことがきっかけで、西田尚美はこの島に住むことを決めたんだと思う。それまでの彼女は、都会に疲れて島に戻ってきた、どちらかというと旅行者的気分のほうが近いのではないだろうか。彼女にとっては島は、日常というより非日常。日常の補完物としての非日常という存在だったんだと思う。その視点だけからすれば島、ていうのは割と無害な毒がない、ワタシを癒してくれるもの、という部分が多いんだろうし、毒があったとしても、どうせ帰るんだし、としてやり過ごせたりもするんだろうと思う。ただそれが日常、という存在になるとすると、どうしても毒の部分も引き受けていかなければならない。その島は癒しの島だけではなくなるだろう。でもそれを引き受けるだけの覚悟が彼女には見えないし、非日常から日常への移行があっさりしてるようにも思われる。
とにかく、たぶんこんなにもさらっとはしてないと思うんだけど。 もっと熱くてギラギラした印象が強かったぼくは。 そしてむしろそれが魅力の一つでもあるんではなかろうか。 最近沖縄好きになったものとしてはそう思います。
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