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[コメント] WiLD LIFE(1997/日)

「変化」は何時起こるのか?
ちわわ

**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。

これ以降の文章には映画の内容に関する重要な情報が書かれています。
まだ映画を見ていない人がみると映画の面白さを損なうことがありますのでご注意下さい。







青山監督は、戦争の記憶はいっぽうでわすれようとする ひとがいて、いっぽうでおぼえていようとするひとがいる、それと同じく ここでも出来事をおぼえようとするひとと、わすれようとするひととの対立が 主題だ、と述べている。

戦争についても、未だにその爪痕がのこっているのに気付かざるをえないとき、 愕然としてしまう。ただこれはやっかいな問題だ。歴史の記憶は、つねに 顕在化してしまう。ようするに、繰り返されてしまう。 いやな記憶なんて忘れ去ってしまいたい。覚えている人間が嫌になるときも ある。 かといって、無理矢理忘れさせることもできないのだが。

主人公の元ボクサーが、向かい合った問題は、こういった記憶、歴史の問題だった。しかしここで監督、もうひとつ別の問題を入れ込む。変化の問題である。 決まった生活をしてきた人間が、事件と恋愛によって、変化する。

「出来事」に眼をそむけることなく、向かい合うことで、生じた変化。 その変化が、主人公を中心に拡散していく。ここに、どうやら作品の大団円が あるらしい。

こういった変化がいつ生じているのか、この作品のポイントはそこにあると 思う。この変化の表現に失敗しているとすると、観念がさきばしりした 作品といった印象は免れないかもしれない。

(評価:★3)

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