コメンテータ
ランキング
HELP

[コメント] 恋のゆくえ ファビュラス・ベイカー・ボーイズ(1989/米)

主役が完全に食われてるんだけど、ファイファーの魅力は存分に伝わる作りにはなっているので、それだけで楽しめると言えばそれまで。
甘崎庵

**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。

これ以降の文章には映画の内容に関する重要な情報が書かれています。
まだ映画を見ていない人がみると映画の面白さを損なうことがありますのでご注意下さい。







 1980年代はハリウッドにロマンティック・コメディ旋風を引き起こした。後に日本に輸入されてトレンディ・ドラマへとなっていくものだが、80年代も終わりになっていくと、それにも多少奇妙な傾向が現れるようになっていく。それまでの浮ついたストレートなセレブ階層の恋愛劇から、より等身大の、普通の人間へと。あたかもそれは1950年代のハリウッド名俳優同士の恋愛劇から70年代のニューシネマへと向かって行ったような感覚。ただし、既に一度通り過ぎている道だからか、そのまま極端な方向へとはいかず、元のロマンティックさをうまく活かしつつ大人の恋を描くようになってきた。1989年というのは丁度本作と『恋人たちの予感』(1989)の公開によって、そう言った一皮剥けたロマコメが出始めた時期に当たる。だから本作は映画史においても重要な位置づけを持つ作品と言える(数はそう多くはないが、直系のロマコメは現在に至るも作られ続けている)。

 ところで数多くの作品に主演、助演して演技力には定評のあるジェフ・ブリッジスだが、少々個性が弱いこともあってか共演者に食われてしまうこともしばしば。本作も元々はボーとジェフのブリッジス兄弟が共演と言うことで話題になったが、ヒロイン役にファイファーなんぞを起用したもんだから、兄弟二人揃って完全に食われてしまう結果になってしまった。

 実際ニューシネマを経ていたジェフの演技は見事なものだったのだが、ウジウジと悩む主人公像はやっぱり食われて当然か?と言った感じ。玄人好みの演技をトレンディ・ドラマで見せること自体に無理があったのかも知れない。それにボーの方も元々あんまり目立たない外観だし…

(評価:★3)

投票

このコメントを気に入った人達 (0 人)投票はまだありません

コメンテータ(コメントを公開している登録ユーザ)は他の人のコメントに投票ができます。なお、自分のものには投票できません。