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[コメント] 爆音(1939/日)

少年兵勧誘のあざとさに眼を瞑れば愉しめる田園コメディ。小杉勇ドングリ坊やが畦道を自転車二人乗りで歌うたいながら走る辺りに醸し出される多幸感はとてもいいものだ。
寒山拾得

**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。

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当時の村落が詳述されるのが貴重だろう。コンクリ舗装されている道路まである。藁ぶき屋根を除けばうちの田舎と大して変わらない。案山子やら家畜やらの並置はサイレント仕込みで愉しく、自転車のとんでもない処に据えられるキャメラが素敵で(一方、飛行機目線のキャメラがないのは、村落詳述の趣旨からは寂しい)、親バカ小杉の小川への転落は素晴らしい。『小原庄助さん』などでも感じたが、昔の邦画は喧嘩や転落を体張ってやるものだ。牛のとうせんぼとか、轟夕起子の口の傍の飯粒などというベタなギャグも、この世界だと許されてしまう。村長の娘と小作人の関係など、時代ゆえ虚飾なく描かれている訳でとても興味深い。

しかし、この田園風景の過度な理想郷ぶりがラストの少年飛行兵勧誘に回収されてしまうのは、ちと辛いものがある。最後に女三人泣いているのは感動しているのだろう。航空ショー自体珍しかったにしても、演出過剰の感がある。あれが郵便飛行機だったら良かったのに、全く。

(評価:★3)

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