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[コメント] 野獣死すべし 復讐のメカニック(1974/日)

批難も追及もしない、ただ殺すだけ。
G31

**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。

これ以降の文章には映画の内容に関する重要な情報が書かれています。
まだ映画を見ていない人がみると映画の面白さを損なうことがありますのでご注意下さい。







 『野獣死すべし』映画版は都合3本見たが、この作品が一番良かったよ。松田優作版はどうも批難がましかったし、(先週同じシネマヴェーラの特集で見た)仲代達矢版は人を殺して悦に入ってるような嫌味があった。批難もせず、追及もせず、ただ殺すだけ(動機は復讐だが)、てな風情はこの藤岡弘版が一番出てたと思う。もっとも原作を読んでないので、大藪春彦の小説世界にどれが一番近いのか知らないのだけど。

 藤岡の面構えが一番映画的にリアルなんだよね。松田はサイコパス入っちゃってるし、仲代は知性に勝りすぎ。ありきたりなハードボイルドチックな世界に押し込めてしまった、と指弾されるのかな?とも思うが、野獣性の中に潜む知性(ないし意志の強さ、かな)というのが、唯一映像的に成立するリアリティなんだ。監督の須川栄三にしてみれば、仲代版でやれなかったことをやっただけなのかもしれないが。

 旧華族夫人が絵画に感じるエピソードも良かったな。仮面を半分被った女性の足下に広がる本能の毒々しい欲望。彼女はこれが気になるつまり共鳴するんだけど、むしろ絵の存在を抹殺しようとする。この傲慢さでいままでも物事を乗り切ってきたわけだ。どうしたって破綻が見えてるよね。俺もこの絵を見たとき彼女と同じように感じた(半分妄想だが)。だから簡単に自死を選ぶわけないとも思うが、この気取りは許せる範囲だ。

 終わり方が難しいだろうな、と感じながら見てた。『明日に向って撃て!』を露骨に意識したとってつけたような結末は、だから不満だ。だが、どうしても75点ではなく、80点あげたい作品。

80/100(09/04/19見)

(評価:★4)

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