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[コメント] 蜘蛛女のキス(1985/米=ブラジル)

 軍事政権下で正義を信じる男ラウル・ジュリアと本当の愛を信じる男ウィリアム・ハート。監獄を舞台にした二人の密室劇であり葛藤劇であり、和解と許しの映画である。  難解な小説を脚本化したレナード・シュレイダーは天才である。
双葉三十郎

**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。

これ以降の文章には映画の内容に関する重要な情報が書かれています。
まだ映画を見ていない人がみると映画の面白さを損なうことがありますのでご注意下さい。







 この映画は劇場公開中に3回観た。もっと観たかったが公開が切れた。僕はホモセクシャルじゃないけれど、ウィリアム・ハートの無償の愛に心が打たれた。

 公開当時はラウル・ジュリアが怒鳴ってばかりで「いけ好かないやつだなあ〜」と思っていたが、今ではラウルに心情が傾いている。  優しくしようとしても、優しく出来ない不器用なやつなんだ彼は。

 二人の心が分かり合ってから悲劇が起こる。なんという残酷なことか!

 どちらも「国家」という拘束された世界に住んでいる。それが「運命」のようにもみえる。  あらがっても、あらがえきれない世界。

 それはまるで、私たちが住む世界と変わらないのではないか?

(評価:★5)

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