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[コメント] アメリカン・ヒストリーX(1998/米)

払拭と解決と矛盾。98/100
たろ

**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。

これ以降の文章には映画の内容に関する重要な情報が書かれています。
まだ映画を見ていない人がみると映画の面白さを損なうことがありますのでご注意下さい。







映画の重要なポイントはデレクの差別意識・嫌悪感・怒りが払拭されたのが、刑務所で黒人の下ネタに笑った事に始まった事実だ。父を殺され、移民に憎悪を抱いていたのにそんな下らない会話で全てが変わってしまった。

しかし現実はそう甘くなく、デレクが射殺されまた話は振り出しに戻る。こうしてアメリカは、許してやられてやり返して許しての繰り返し。世界で頻繁に起こっている事だが、それをアメリカ社会に落とし込んだ故、分かりやすい作品に仕上がった。

ラストの後、デレクは弟を殺された恨みをどう解消するのか気になるところ。さらに過去の清算までしないといけない。憎しみの代償は重すぎる。

また彼は父の死から有色人種に憎悪を抱き始めたものの黒人教師のスウィーニーには信頼を寄せている。だとしたら彼の憎悪とはなんだったのか。そこの矛盾をさりげに描写してる点にも注目したい。

社会の問題を深く描いたストーリーにパンチを与えるのがノートンの存在だ。彼無くしてこの映画は語れないほど凄まじい変貌ぶりを見せてくれる。1つの作品で少なくとも3人(事件前・事件後・出所後)の同一人物を演じたのはピーター・セラーズに次ぐ偉業でしょう。

(評価:★5)

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