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[コメント] ナチュラル・ボーン・キラーズ(1994/米)

この映像表現は決してシュールではない。万人の万人に対する闘争。naturalとは当にそれであって、この映画をシュールと呼べば純粋な物は全てシュールだ。そして、だからこそピュアで、圧倒的な魅力を有する。奇跡的なラブロマンス 2005年1月19日劇場鑑賞
ねこすけ

ま、アニメと実写等々、様々な映像表現を駆使してシュールな世界を生み出す、と言う部分で言えば『ピンク・フロイド/ザ・ウォール』の悪夢的な映像の方が俺は上を行っていると思う。この映画は「natural」と言う名のモラルの上に乗った暴力映画だ。過剰な表現は、「natural」を表現する為のそれであって、それが俺の脳髄までビビッドに伝わってくるか、と言うと、恐らくその大半は「ノリ」であって『ピンク・フロイド/ザ・ウォール』の滲み出る狂気と比すと、少々「ノリ」の比重が大きすぎるように思えた。

ってそんな物比較しても、そもそも両作品ともテーマが違うから無茶苦茶に的外れなんだけど、でも、「狂気」をテーマにした物として、陰鬱な物と無茶苦茶にぶっ飛んだ物、として比べて見るのも中々一興ではないかと俺は思う。

LSDでもキメてんじゃないかと間違う程にぶち切れた映像表現がとにかく圧倒的だ。勿論、ストーリーが素晴らしいのは言うまでも無いのだけど、とにかく作品から滲み出てくるこのパワーはとんでもない。上述した『ピンク・フロイド/ザ・ウォール』からは狂気こそ滲み出ても、パワーは本作の方が上だ。ん?なんか上述した事と矛盾してる?まぁいい。気にする無かれ、だ。

五感をハードに?違う。味覚も聴覚も嗅覚も触覚も、幻覚も関係ない!そこに必要なのは視覚だ。視覚を通して脳髄をビビッドに刺激する、このハードコアバイオレンスフィルムの圧倒的なパワーに陶酔し、陶酔し、陶酔しつくす。何て快楽だろう。

直視して感じろ、この正気と狂気、理性と煩悩の間に揺れ動く、紛れも無い本能を!

全身で暴力を全否定し、本能で暴力を全肯定する。相反する矛盾の中、我々はこの本能を無視する事は出来ない。

モラルを、ねじ伏せ、叩き潰した、そこに残るのは欺瞞に満ちた腐敗した世界だ。何が正しい?何も正しくない。何が間違ってる?何も間違っちゃいない。

呼び覚ませ、本能を。でも、一体どうやって?

だから言ってるじゃないか。

love。コイツだよ。

(評価:★5)

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