[コメント] 地獄(1960/日)
周囲で起こっている残酷非道なできごとに、赤子のように無力に為す術なく弄される主人公。逆にいうと、周りの大人たちから虐待を受けている子供が目にしている光景こそ「地獄」なのだとも思う。
**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。
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地獄とは、死んだ人間が、赤子同然に無力で為す術もなく弄されているところであった。そこで無垢で怯えているだけではダメで、本当の「無力な赤子」を助け出して守る、という意志を持った主人公だけが、この世界で唯一独自の行動をとるに至り、それが救いにつながっていくのである、というのが何となくテーマらしいが、そんなことより、とにかくこの全体の印象。このころの日本の不健康な精神みたいなのものが懐かしい。80年代に「ビョーキ」「根暗」とかいうセグメントで根絶やしにしようとしていたものの源がこういうものだとしたら、つくづく(「明るい人たち」は)凄いのを相手にしていたと思う。こういう作品を見ると、日本人て、社会が多少絶望的なムードになったって、いつかは乗り越えていく楽天性も持ち合わせているのだな、というように思えてくる。
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