私はテレビ放映された『ウルトラセブン』を幼少時にリアルタイムで見た世代です。怪獣やヒーローの活躍に驚喜した人間です。

大人になってアノ暗く不安感の漂う脚本に秘められた意味を知りその深みに感嘆した。オキナワや戦争、異邦人、敗れ去る者たち・・・自分が成長しある程度の知識を積んだ事で、たかがお子様向けのＴＶ番組への評価がさらに高まった。

だが、幼少時のトラウマの中において現在に至るも一切が変化しようもないエピソードがある。ダンとアンヌ隊員との「仄かに」惹かれあう姿。アレが「恋愛」だということを、否「恋愛」という概念を初めて知ったのがこのＴＶ作品だったのだ。

今日、小学３年生の息子と本作を鑑賞した。長いシリーズの中で初のキスシーンだったという。

親としてちょっと複雑、そして元ウルトラ少年としては・・・複雑過ぎて言葉が選べない。「いまどきキスシーンなんて」っていう時代性なんだという一言でかたずけるには賛成できない自分がいる。なにしろ『ウルトラマン』なんだぜっ！

昼飯を喰って、夕飯を喰って、そしてずっと考えてみた。そしてやっと考えがまとまった。

私は本作のキスシーンがどうのこうのってんじゃなくて、本当はダンとアンヌのふたりにキスシーンを演じさせてあげたかったんだって。