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[コメント] サマー・オブ・サム(1999/米)

1人の完全なる狂気と集団の軽度の狂気がニュー・ヨークを闊歩する。まともだったのはパンク・ロッカーのみ
torinoshield

サマー・オブ・サム・・・・数年前自分が通勤で使う駅で殺傷事件があった。しかも同じホーム、いつも並んでいる列の場所で。更に言うならいつもの時間の10分前。並んでいたら電車内から男が突然凶器で襲ってきたらしい。その日いつものようにホームに行ったら明らかに雰囲気が変だったのを覚えている。この犯人は完全な精神異常者だ。人間1万人も集まればこういう人は必ず存在する。

イタリア系のワル達と主人公・・・・数日前、自宅近くで浮浪者を袋叩きにして殺した中学生達が捕まった。図書館で騒いでいたのを咎められて「切れた」らしい。この場合の犯人(中学生達)は精神異常者ではない。おそらくそこらじゃ名の通った「普通の」ワルだろう。集団とは責任のなすり合いが出来る便利な機能を持っている。浮浪者を襲うときボスが「殺せ」と言ったとしてもボスの心中は「みんなで殺せば怖くない」感覚だったろう。そして命令された方も「ボスに言われたから」と。

パンク・ロッカー・・・・当時のパンク・ロッカーは世間からかなり白い目で見られていた。精神異常者に近い感覚で扱われていた事は確かだ。しかし、彼らは世間を批評し自分をも観察出来る能力を持っていたのだ。もっぱらファッションで語られるパンクだが音楽も独特。目をつぶって聞けば「誰の曲かわかる」というのがNYパンクの特徴。それは根本から自分達の創作活動をしたから出来る事だ。おかしな方向に走り出す集団にこういった人材はいない。

日本の政治や雪印が何故集団で混迷するのか、それは未だに自分達は「普通」でパンク・ロッカーが「異常」だと思っている体質にある。

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