[コメント] 赤頭巾ちゃん気をつけて(1970/日)
途中までは死ぬほど退屈だが、ホテルの最上階レストランの件は説得力があり、俄然興味が沸いた。
**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。
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注文も決められないのかと森和代に詰られて岡田裕介応える、料理や服装が大事なこととは思われず、どれでもよくて、そのようなどうでもよい諸々を剥いでしまって大事なものだけを取りだしたいのだが、その大事なものをどうにかする資格が自分にあるのか疑問だ。
この哲学的な問題を持て余し、深刻な沈黙がふたりを襲う。やがてふたりは窓の外に明滅する、キャラメルだの麦酒だの、商品名を記したネオンサインを連呼しはじめる。この物質文明の礼賛により苦々しさは回避され、ふたりは日常の睦まじさを取り戻す。
ここは、全共闘世代からシラケ世代への転換がリアルタイムで刻印された瞬間のように思われる。続く、挫折する青年富川徹夫を、岡田がCFの娘の笑顔で救おうとする件、これは作品の展開のなかでは奇矯だが、私たちが子供の頃から、日常何の違和感もなく行っていることだ。岡田氏が東宝の現社長であるのも出来過ぎた話。この作品を軽薄と呼ぶのは、天に唾するようなものである。全くもって苦々しい作品だと思った。
中井朝一のキャメラがいい味出している銀座路上での少女との語らいは、ノンポリの行く末は少女趣味という、昨今のアキバブームを予見しているようで、何とも不気味な印象が残る。
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