[コメント] 刑事グラハム 凍りついた欲望(1986/米)
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というほど、省略しすぎ。原作と映画とを比べるのはまったくのナンセンスだけど、それにしてもハリスの「レッド・ドラゴン」の何にひかれて映画にしたんだろうか?それともただの商業主義的意味だけ?そうだったとしても、おもしろくない。スリラー、というほどは怖くないし、推理ものとしてもイマイチだ。
ハリスが小説の半分をさいたダラハイドの人生はどこいっちゃったの?「レッド・ドラゴン」のすばらしさは、スリラー的なコワさだけではない。それは『羊たちの沈黙』もそうだけど。『羊たちの沈黙』ではクラリスが、「レッド・ドラゴン」ではダラハイドが、自分自身のなかへ旅をする。それこそが私をひきつけたもの。
クラリスとはちがって、ダラハイドは特別な専門家にそのヒントをもらったわけじゃない。彼は、たったひとりの人間(オンナ)から、そのヒントをもらった。彼女とかかわりをもったことで、とくに彼女がオンナだったから、彼の中でビッグ・バンが起こった!みんな、だれかと関わりながら成長したり、反省したり、また、気づかないうちに相手を成長させてたりする。恋愛関係ではなおのこと。料金の高い専門家に会いにいかずとも、人間は人間とかかわることで、自分自身を鏡にうつして見えるようになるものだ。(本人に認識があってもなくても。もちろん、あればなおよし)もっとも自然に、彼は自分自身への旅にでて、今までしがみついてきたモノから手をはなしてみようとする。でも、できない!その苦悩はまるで私自身だ。苦しんで、苦しんで、彼はそれまでの自分がウソだったとは思いたくなかったんだろうと思う。彼の最後の叫び、それこそが生涯彼がほしかったもの。「レッド・ドラゴン」のミソは、普通の人間同士のつきあいがこの男にビッグ・バンをおこさせた、というところにあると思う。グラハムの葛藤とダラハイドの葛藤。ハリスがまったく交差させることなく描いた二人の人生の対比が非常にすばらしかった。・・・・・んですけどね。
この映画では、ダラハイドはまったくのヘンタイだし、グラハムの過去もよくわかんないし、レクター博士はおなかがだぶだぶしててフツーのオヤジみたいだし。(ホプキンスのレクター像に影響されてるのかな。)それでも、ウィリアム・ピーターセンの内脚となで肩がよかったです。彼は今の年齢になった方が非常に魅力的ですね。(実は最近すごく好き)彼ってグリッソム(C.S.I.)がはまり役すぎて他のはどうかなと思ってましたが、ぜんぜんよかったです。
とにかく新しい『レッド・ドラゴン』に非常に期待してます!う〜ん、楽しみ〜〜!
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