[コメント] エリン・ブロコビッチ(2000/米)
映画を見終った人むけのレビューです。
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実際社会派作品は賞を取りやすい傾向にあるが、実在の人物を、しかもそれをドラマ仕立てでしっかり観させるように作れたことが本作の最大の利点となる。当然それは監督の力量と、その監督の期待に応えるだけの役者の実力が問われるのだが、それはもう本作に於いては見事なほどに噛み合って、小気味のいい作品に仕上がっている。かなり質の高い作品が多かった2000年の作品の中にあっても際だった良作と言っても良い。
ただ本作を観た当時、どうにも居心地の悪い思いがしたというのも確かな話。
これは私個人の話ではあるが、丁度この年、私は仕事上、社会運動家と一緒になることが多かった。その中で確かに凄い人達と一緒になって、凄いやりがいはあったのだが、同時にそう言った活動家達の妙な強さに辟易もしていた。確かに強くなければ行政や無理解な人々を向こうに回して渡り合えるはずはないのだが、その強さは、人の心に平気で踏み込んでいくこともあるし、単純に全てを敵か味方かだけに割り振ってしまい、敵に対しては何を言っても、あるいは何をしても構わないと考える人も結構多かった。それがどうにも居心地悪さになってしまって、そんな人達と一緒にいることが耐えられなくなっていた。
そんな折に本作を観てしまったので、劇中のエリン・ブロコビッチが、そのような人達と重なって見えてきて、どっと疲れを覚えてしまった。まさにこんな強さをもつ人たちの顔が目に浮かんでしまって…
一歩引いて観れば良作といえども、その渦中にあるならば、痛いのだ。そう言う身をもった痛みを感じてしまうため、本作を素直に「良作」と言うには気が引けてしまう。 改めて今このレビュー書いてると、その当時を思い出してしまうな。
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