根本的に原作者のクリスティはポアロでは比較的推理色濃い残忍な話を、マープルでは人間性によるドラマチックな事件ものを、トミーとタペンスでは冒険タッチなものを描き分けていたと思う。だからポアロものと比較してこの作品がメロドラマ的なのは当然。エリザベス・テーラーの熟女の魅力たっぷりの存在感はそれなりにこの作品に合っている。ランズベリー演じるマープルは原作の人の良い可愛らしい老婦人というイメージから程遠く意地悪そうなのでミスキャスト。殺人がテーマの作品というとサイコパスや愛憎塗れの殺人者が多い中、この作品を観ると理由ありき殺人に心動かされる。観た時、子供でしたが、子を思う母を殺人に駆り立てる衝動を見事に思いついたクリスティの発想に恐れ入った。往年のスターに混じってピアーズ・ブロスナン出ていたとは・・記憶に無し。