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[コメント] サイダーハウス・ルール(1999/米)

生まれたことへの後悔や、生まれさせられたことへの憎しみを、ここまでさわやかに描けるものなのか
sj

**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。

これ以降の文章には映画の内容に関する重要な情報が書かれています。
まだ映画を見ていない人がみると映画の面白さを損なうことがありますのでご注意下さい。







孤児院で生まれ育ち、堕胎を目前にして育ってきたホーマーは、その境遇で与えられる印象とは逆に、命の大切さや神秘について重点を置き、堕胎を認めない。

しかし、海辺でのキャンディとホーマーのシーンは、そういった生命の神秘性などを打ち砕き、それはただの動物的な行為の結果でしかないのだと訴えかけているようです。観念的なものをアタッチさせたところで所詮ファックはファック、子供なんてのは崇高な精神さえ笑って無視してしまう快感の結果でしかないのね、と。

そういった生命の神秘性や重要性へのタブー視されがちな根本的な疑問(「どうして私は生まれたの?」)を正面から描いているにも関わらず、なおかつ監督がそれに対し、映画中で我々が認めたくないと思いがちな答えを提示しているというのに、一見して単なるさわやかな映画に仕上がっていることには全く舌を巻きます。

ラストのホーマーは妙に老成して見えます。しかし、それは諦めだったのではないのでしょうか?

(評価:★5)

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このコメントを気に入った人達 (2 人)鵜 白 舞[*] ことは[*]

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