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[コメント] ムッソリーニとお茶を(1999/伊)

地元民(ジモティ)、フランコ・ゼフィレッリだからこそ撮れた、フィレンツェ。
ネーサン

**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。

これ以降の文章には映画の内容に関する重要な情報が書かれています。
まだ映画を見ていない人がみると映画の面白さを損なうことがありますのでご注意下さい。







ヨーロッパ最古の孤児院の中庭。 中世から切り取られたような、空間。

石造りの建物から見える、青い空。 街の中心にそびえるドウォーモ。 夕闇に溶ける、ポンテ・ベッキオのシルエット。

まず、風景が美しいことはいうまでもない。 ジモティが撮りました!って感じの、ちょっとした裏路地も雰囲気を添えている。 舞台はいうまでもないわけ。

で、女優、子役、青年役、どれもいい味出してる、と。 少年とイギリス人の老女との紙人形劇のエピソード。 おお! ゼフィレッリ監督の出世作といえば「ロミオとジュリエット」ですがな。 ロミオとジュリエットのバルコニーのシーンは、 そこでジュリエットにキスするのも含めて、この監督が考えたものだというし。 ちゃっかり自作へのオマージュ。

今では婆さんだけど、メアリー役のジョーン・プロウライトといえば、ローレンス・オリビエの妻ですよ。 しかも元・ジュリエットだよ。(確か舞台で) ほかのばーさんも、かつてジュリエット役で鳴らしたマギー・スミスだし。

「枯れたジュリエットたち」が花の賑わいなわけです。 で、ウフィッツィ美術館でお茶。 プリマヴェーラ。

それって、いいなあ。 信じられないくらいうらやましい。

戦況が悪化しても、イタリア内部に住み着いた英国魂は、健在。 アメリカ人役のシェールも、よかったし。 ジュディ・デンチは、貫禄すごいし。 マギー・スミスはいいかんじにプライド高くてかわいいし。 子役もかわいい、青年役も初々しい。 まさに奇跡のようなキャスティング。

ストーリーがうまく行き過ぎるけど、無問題。 そんな、監督の自伝的映画。 これは、つべこべ言わず、愉しむが吉。 芸術万歳。

(評価:★5)

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