[コメント] 痴人の愛(1960/日)
本作も全編ローアングルで徹底している。中でも、大手町のオフィス内のシーンにおけるローアングルには驚く。普通はカメラを置けない場所、床をひっぺがして、カメラを据えて撮っているのか。小津よりも低くいんじゃないか。
また、女性の脚や太腿ごしのショットも多数ある。本作の木村恵吾は、かなり自分の嗜好に合わせて自由にやっているように思う。
また、冒頭、熱海の慰安旅行シーンの多々良純や本郷秀雄といい、前半の船越英二と叶順子、隣の病院の菅井一郎や岩崎加根子、小笠原まり子といい、皆、テンポ良く喋りまくる。演劇的な説明台詞の連続だが、これもわざとやっているのだろう。
本作で叶順子が付き合う不良学生達は、結構豪華な面々だ。男子は田宮二郎、川崎敬三、石井竜一がおり、女子には、柏木優子や三木裕子に交じって、春川ますみと江波杏子もいる。しかし、皆あまり不良っぽくなく、案外、真面目なのが物足りなくもある。特に川崎敬三のキャラなんか、叶との関係を簡単に船越にバラしてしまい、謝罪までするのはどうかと思う。
あと、船越の自宅周りや、鎌倉に借りた家の美術装置も見どころだ。特に船越の家の側を電車が通る見せ方。あるいは、寝室の赤い照明。デフォルメされた装置が面白い。
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