[コメント] 天才マックスの世界(1998/米)
本作の時点ではシンメトリーな配置は少ないし、横移動は多々あっても、真にキャッチーな横移動はあまりない。
また、近作に顕著なプロット展開の求心力も乏しく、プロットは散漫に繋がれる。しかし、端正な構図と、こゝぞ、という場面でのスローモーション活用や、独特の間合い、リズムはほゞ本作の時点で完成の域にあるように思う。
散髪の場面を見せて、散髪屋のシーモア・カッセルが父親だと分からせる見せ方がいい。ビル・マーレイとオリヴィア・ウィリアムズがひかれあう展開は、容易に予想がつくのだが、単に予定調和に堕さない展開も成熟した視点、懐深さを感じさせる。雨の夜、オリヴィア・ウィリアムズの寝室へ訪れる(2階の窓から入る)場面が切なく胸を打つ。ラストの戦争劇はやり過ぎだとも思うのだが、その後の超スローモーションの挿入も含めて、確執を超えた連帯、というモチーフを昇華する方便として、納得できる演出なのだ。
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