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[コメント] サウスパーク 無修正映画版(1999/米)

ある意味ものスゴく筋の通った映画。
くたー

**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。

これ以降の文章には映画の内容に関する重要な情報が書かれています。
まだ映画を見ていない人がみると映画の面白さを損なうことがありますのでご注意下さい。







放送禁止用語というのは、ある意味言葉をコトバ(記号)にして選り分ける作業なので、それらのコトバにどのような意味が込められて発せられるか、なんてことはそもそも別の問題なのである。

その記号の規制に対し、この映画は徹底して記号をもって抗する。あまりにシンプルな「やられたらその分やり返せ」の構図。しかしここで、主人公たちが子供であること、このこと自体に非常に筋が通ってくる。言葉を大して意味も分からず記号として扱うのは、大人よりもむしろ子供のやることだから。

そして、これらの遣り取り自体がバカバカしい笑いを誘う。そこには意味・意図・意思を相手に伝えるものとしての言葉が存在しないから。いや、確かに痛快なんですよ。コトバがナンボのもんじゃい、的には。コトバを制限することの表面上の(あくまで表面上の)バカバカしさというものは、否応なしにも伝わってきますよ。痛快とさえ言えるでしょう。

でも、なんだか物足りないんですよ。コトバそのものではなく、どのように、どんな意図でその言葉が使われるか、ということが全く問題にされない世界というのは。そもそもぶっちゃけると、下ネタを無条件に面白いと思うにはスレまくっているというか、差別発言を言ったからってそれだけで衝撃は受けないと言えばいいのか。爆発力があるかどーかっていうのは、その使い方次第だと思うけど・・・。

ヒトコトで言えば厚みがない。でもそれは、フラットな作画やその動きを含めると、意図したフラットさなのだろう。そう言った意味でも、筋はものスゴい通っていると思う。あえて観る側にいろいろ考えて欲しいがゆえにフラットなのかもしれない。が、個人的には、実は世の中の殆どは意味のない記号で成り立っている、という事位しか読み取れませんでした(というか、そういう映画だったっけ?)。フセインを初めとした有名人の扱われ方も、ひたすら記号的。

とはいえ、リズムや音楽への乗っけ方は面白い。純粋に音楽映画として観た方が楽しめたのかも。何てモンで韻を踏んでるんだ、みたいな。

(2008/12/19)

(評価:★3)

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