[コメント] ホワイトアウト(2000/日)
映画を見終った人むけのレビューです。
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『踊る大捜査線』で警察社会の実態が客にも伝わった。 なのに相変わらずの無茶苦茶な警察組織。 田舎の所轄署のノンキャリ所長が県警本部と対等な立場でいる段階で、 映画としての魅力が無くなった。 客の心理を全く考えてない。 織田裕二の演技は素晴らしいだけに非常に残念だが仕方ない。 原因の一つを挙げると、 若松節朗監督は『踊る大捜査線』を見ていないらしいと感じる。 織田裕二が好きなら見て損はないが、 アイドル映画だと割り切った方が楽しめる。 ヤフー!のBBSでボロクソに貶されていたから、 嫌な予感があったんだけど見事に大当たり。 ちなみに、この映画を大絶賛する人も多いが、その気持ちは分かる。 単純に楽しむ映画的には面白い。 派手なアクションとジェットコースタームービーな展開。 ただ原作を知ってる等、 下手に予備知識がある分一つ星程度でしかない、そんな映画かなと思う。
> 警察
一番酷かったのが警察の対応。 『踊る大捜査線』で、 本庁が所轄を無視する本部一括主義な捜査方法は今や周知の事実なはず。 本部と所轄の合同捜査で所轄の所長が本部の人間と対等に立場にいるなんて、 本部の捜査会議に所轄の所長が同席するなんて、 普通はありえないはず。 まるで一昔前の刑事ドラマを見てるみたいだった。 とにかく所轄の所長が現場で活躍しすぎ。 本当なら所轄の出番なんて無いはずだ。
> 責任 日本のお役所の場合、責任問題が最優先なはず。 なのに映画では、 誰もがヒーローのにように演じている。 もっと日本人らしさを全面に出さないとリアリティに欠ける。 責任問題について議論したり、事勿れ主義だったり、 日本人らしさが全然出てない。 日本とアメリカは違うのだ。
> 銃撃戦
一番悪いと予測した銃撃戦に関しては、特に問題なく違和感は感じなかった。 但し、別の箇所で違和感があった。 ダムの職員や松嶋菜々子上手く銃を使いこなしている。 テロリストならともかく素人である彼達が何故あそこまで上手く扱えるのか、 日本の法律では無理がある。 後半では織田裕二にも該当する。 俳優織田裕二がガンマニアであっても、 劇中の織田裕二扮する富樫は山好きなダム職員なのだ。 銃は全くの素人なはず。 (つまりエアガンすら知らないと推測出来る)
> テーマ
原作と映画で内容が随分と違う。 これは映画化に関しては永遠のテーマらしいので、 特にこだわらないとしよう。 つまり、映画と原作は全くの別作品だとしよう。 となると、映画でのテーマが見えない。 原作では人間ドラマがあり、 「約束」にこだわったヒーロー像が展開され、 最後まで無理なく仕上がってる。 映画では何が言いたいのかが分からない。 肝心のテーマである「千晶救出」に関しても、 富樫が知ったのはクライマックス近くである。 素人の富樫が何故テロと戦うか、 日本人の考え方だと単なるヒーロー願望では無理がある。 (慎ましく控えめにが日本人の美徳観念とされてる為) 日本人はそこまでして命を懸けない。
> 総評
超大作映画を撮りたいのは分かるが、 ハリウッドを意識しすぎて無茶苦茶になってる。 アメリカと日本は何もかもが違う。 『踊る大捜査線』のヒット要因は日本人らしさが全開だったからだと思う。 人命に関わる重大事件でも世間体最優先なエリート思考、 そんな馬鹿げたプライドを皮肉ったのが功を奏していると思う。 織田裕二は確かに上手い。 だけど他の悪い点に潰されていてせっかくの名演技が可哀想。 日本でしか撮れない映画、 それが邦画の良さではないだろうか。 映画センスが無いのにスタイルばかりハリウッドを真似したって、 無理だし矛盾が出てくるし所詮は猿真似で終わってしまう。 面白い映画が撮りたいならもっと客の心理を勉強してほしい。 残念ながら邦画がヒットしない理由を、 改めて感じさせられた映画となってしまった。
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