[コメント] きけ、わだつみの声 Last Friends(1995/日)
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戦後50年記念で1950年に製作された『日本戦歿学生の手記 きけ、わだつみの声』をリメイクした作品。多くの若手有力キャストを揃え、現代風の価値観をぶち込んで、作られた。その意気込みは感じることは出来る。
しかし、しかしだよ…
やっぱり、無理ない?この物語?
岡本喜八監督はかつて『激動の昭和史 沖縄決戦』という戦争映画を作ったが、これは多数の資料を用いて極めつけに冷徹に作ってくれたから面白かった。逆に思想を全面に出して、ひたすらその哀しみを表現しようとした『月光の夏』のような作品だったら好きになれるんだが…
しかし本作はあまりにも作り手側の主張が強すぎ。しかも現代からタイム・スリップなどと言う姑息な手を用いたため、物語そのものがズタボロにされてしまっている。個々のストーリー、あるいはその演出についてはそこそこ見られるんだが、大元のストーリーが悪すぎる。しかもあのラストは開いた口がふさがらないと言うか、すさまじく無駄な時間を過ごしてしまった気分にさせられた(ちなみに織田裕二が最後に敢行したトライ!のシーンはこれまた超駄作『バトル・ロワイヤルII』でパロディとされている。良い組み合わせだな)。
ただ、本作で唯一面白いと思った部分はあるにはある。フィリピン前線で映画監督の卵が登場するが、あれって山中貞雄がモデルなんじゃない?生きていれば戦後日本映画に多大な功績を残していたかも知れない人物を登場させた、その点だけはなんか嬉しかった。
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