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[コメント] ペーパー・ムーン(1973/米)

ニューシネマ流行りの中にぽっかりと登場した純正ロードムービー。かえってこういう作品が残るのが面白い所です。
甘崎庵

**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。

これ以降の文章には映画の内容に関する重要な情報が書かれています。
まだ映画を見ていない人がみると映画の面白さを損なうことがありますのでご注意下さい。







 ライアン=オニールとボグダノヴィッチ監督との二作目の作品で、不思議なコンビ関係を描いたロード・ムービーの傑作の一つ。『或る夜の出来事』(1934)同様、よくコメディやイラストのネタにされるので、知名度も高い。それにテイタムのデビュー作で、当時10歳。アカデミー助演女優賞の最年少記録を作った事でも有名(子役止まりだったけど)。

 元々反発し合っている年の離れた二人が、喧嘩していく内に仲良くなり、危機を経て本物の親子関係を作り出していく。この手の作品は私のツボで、どうしても最後はほろりと来てしまうことが多い。それで本作もかなり好きな方。特に最初に小生意気なだけだったアディが、小生意気なまま可愛くなっていくのは、テイタムの上手さを感じさせてくれる。ストーリーも軽快さを失わないまま、二人は本当に親子か?と言う所を回避し、時に重い所も見せてくれるので、バランスも良い。

 ただ本作の場合は私には泣ける部分が無かった。それはおそらくテイタムが子供としてよりも若い女としての個性を出し過ぎているからではないかと思う。テイタムが上手いため、ライアンと対等に渡り合えてしまった。それが良い部分でもあり、悪い部分でもあり。微妙な所で私のツボをすり抜けてしまったかな?もうちょっとテイタムに可愛げがあって、素人臭かった方が良かったな。話もなまじ軽快すぎて1950年代の作品かと思ってしまえるほど。ニューシネマ真っ盛りにこの演出は古すぎだろ?

 ロード・ムービーの傑作と言われる本作だが、実はかなりの低予算で製作されたもので、本作がモノクロなのは単に予算がなかったからだとか。それで大ヒットのみならず、後にテレビシリーズにまでなったのだから、大成功だろう(テレビシリーズの方のアディ役はジョディ=フォスターが演じたが、彼女も又ブレイクすることになる)。

(評価:★3)

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このコメントを気に入った人達 (2 人)Bunge[*] 煽尼采

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