『真夜中のカーボーイ』や『狼たちの午後』が初めから画面に引きつける展開だったのに対し、本作はなんとなくピンとこないまま終盤まで進んでいった。

しかし、前の妻子から見捨てられたアル・パチーノが、なんとか平静さを装うものの耐え切れず暴れてしまう公園のシーンが忘れがたい印象を残す。公園の噴水がまるで巨大な滝壺のように奔流を生み出し、パチーノの心を剥き出しにしたうえ彼の心をすべて流し去っていく。彼が壊れていくのを見守る噴水の彫刻が冷徹に存在する。