[コメント] オリバー!(1968/英)
映画を見終った人むけのレビューです。
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まだ映画を見ていない人がみると映画の面白さを損なうことがありますのでご注意下さい。
1968年というのは映画史では大変面白い年で、ニューシネマがはっきりとその特徴を表し始め、『猿の惑星』や『2001年宇宙の旅』によってハード路線の本格的なSF映画が作られ始め、はたまた『ナイト・オブ・ザ・リビングデッド』や『ローズマリーの赤ちゃん』によって本格ホラーも作られ始めた年。色々な意味で映画システムに変革が起こった年だが、一方、この年は本作を始めとして『スター!』、『チキ・チキ・バン・バン』、『プロデューサーズ』と言ったミュージカルがやたら多く作られた年でもある。これを考えるに、映画システムは確かに変革の時を迎えていたが、その前の最後の旧システムによる抵抗もあった年であったと言えるだろう。古さと伝統をこそ至上とする伝統的システム。それに則った作品も数多く作られているのがこの年だったのだ。
それで結果的にこの年の批評家達はどちらに軍配を上げたかというと、旧来のシステムの方だった。本作がイギリスのみならずアメリカでもアカデミー作品賞を得たことからもそれは分かろう。
ただ、私が観る限り、本作は確かに出来が悪いとは思わないものの(特にカメラの使い方は絶品で、狭いセットを縦横無尽に駆け回らせることで奥行きを感じさせる上手い作りになってる)、取り立てて「面白い」と言えるほどの作品ではなし。大体物語そのものが結構暗めの作品なので、なまじ明るいミュージカル調にすると、思いっきり浮いてしまう。物語そのものも1950年代か。と思えるほどの古さ。フェイギンを多少善人化させるなど新機軸も投入はしてるが、なまじ古典劇と割り切ることが出来なかったお陰で痛々しさしか感じることが出来ず。結局だらだらと続くだけの作品にしか思えず。これがアカデミー作品賞ってのは、やっぱり懐古主義ではなかったのだろうか?
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