[コメント] 海軍(1943/日)
映画を見終った人むけのレビューです。
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冒頭字幕で「この作品は戦時中、国民の戦意高揚を是として作られたため、終戦と同時に、アメリカ進駐軍に接収された中の一本で、その後返還されたものですが、クライマックスの真珠湾攻撃のラストシーンが残念ながら戻ってきませんでした」とある。他、企画 大本営海軍報道部、後援海軍省、情報局国民映画。「慎みてこの一篇を真珠湾下に散華せる特別攻撃隊の英霊に捧ぐ 松竹株式会社」
隆夫志村久は海軍志望。桜島仰ぐ天保山の海辺で親友の真人山内久を一緒に陸奥に乗ろうと誘う。桜島はその後も黒雲帯びたり晴天に肌晒したりと捨てカットに再々使われる。英語教師の東野英治郎は英語も大和魂で学べと云い、軍事教練の笠智衆は全員戦死、気合がたらんと活を入れる。呉の海軍兵学校視察、日本の海軍は天皇の海軍、ここまでの大海軍になったのは明治天皇の御偉業、海軍軍人は天皇の海軍に命を捧げる武人。村山作とは云っていることが180度違う。
隆夫は感激して病欠の真人に手紙書き、真人は海兵に行きたいと家人に打ち明け、母滝花久子はお前が決めたんならそれでよかと微笑む。隆夫と真人は大山巌や東郷平八郎の碑など拝んで回る。西郷さんの銅像は映るが拝まない。東郷平八郎のポスター買って部屋に貼って勉強。そんなもの売っていたのだ。後にも鹿児島の誇りと語られている。四学年軍人組に進級。担任の東野は学校の名誉のため頑張れと力む。笠は出征の挨拶。
隆夫は眼が悪くなり、体格検査で落ち、真人合格電報の感激。隆夫は経理学校志望。妹のエタ青山和子は自分だけ入ってエバっとると立ち去る。村山作ではあれほど活躍した彼女の出番は殆どここだけ。青山が可愛いので実に残念。ロンドン条約抜けて日本はひとり立ちと東野。隆夫はまた体格検査で落ちて誰にも会わない。真人は入学、兵学校の立派な施設が厳粛な劇伴とともに厳粛に撮られて博物館巡り、東郷さんの肖像画に敬礼。東郷元帥の年まで生きる積りはない、オレタチは無条約時代の軍人と殉死者芳影という冊子を開く。直筆らしく佐久間艦長遺訓などがキャメラで舐められている。モノホンの演習風景は巨大な10人漕ぎボート。
この辺から映画は腰が軽くなりエピソードのスキップが所々入る。終盤だけでなくこの辺りも検閲が入っているのかも知れない。隆夫の同級生が死亡、隆夫の兄はいつの間にか出征していて戦死。遠泳航海してシンガポール、ハワイの地味な模型。この頃はハワイに立ち寄れたのだ。それから紀元2,600年。帰国して東京の道でばったり真人に再会、彼は眼鏡かけてブレザー着て画家志望。死にとうなったと云う彼に、隆夫は子供の頃のように軍艦の絵画けと勧める予定調和。
教官の小杉勇は米英が無茶云うからと特別攻撃隊に隆夫らを指名、隆夫は帰省して三度東条を参って桜島を眺めゼロ戦の編隊を眺めて有事を実感し、実家で悠久の大義につくことを喜びとすべしとひとり朗読し最後の家族との食事、母のご飯よそったり、兄に子供の頃骨折ったら天子様に申し訳ないと看病してもらった思い出を語ったりする。
モノホンの軍艦が海を進み、真人の手紙読み、書を攻撃隊仲間と交換し、潜水艦は侵攻。米屋でラジオはわが軍は戦闘状態に入れりの放送。潜水艦では運転手と二人、隆夫は浮上の指示、ボンボン燃えるハワイの米艦船を潜望鏡で眺めて何か聞き取れない科白を隆夫が云ったところで映画はプッツリ終わる。
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