話の骨格的にはホラーやサスペンスというよりは、強いて言えば小説で言うトコロの「奇妙な味」の系譜に近い気が。オープニングとエンディングの奇妙にレトロで静謐な味わいをはじめとして、全体的に斜に構えた上での突き放した語り口。その割には、残酷描写はどこまでも直截的に力を入れてくるので、どこかちぐはくな気が。

できれば、アイディア満載の残酷描写はもっとストレートなホラーでやって頂いて、この話に関しては代わりにユーモアとペーソスを強調して欲しかった。話的には突っ込みドコロもあるとはいえ、しょっぱなから怪しさ満点のマッドな葬儀屋の奇天烈振りもなかなか面白いし、「お願い私を埋めて！」と嘆願する女の姿の哀切さとかも、これはこれで捨てがたい味わい、と思う。

(2006/01/17)