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[コメント] 男たちの挽歌(1986/香港)

暴力とやくざをスタイリッシュに描きつつも、それでいて裏社会への好奇心を根底から削ぐことに成功した大傑作。
Bunge

入り組んだストーリー、ワンアイデア、主人公の生い立ちといったものよりも「自業自得」から話を膨らませているので根っこは説教映画だが、香港独自の爆発的なエンターテイメントが強引な中和をもたらしたことでアジアが誇る名画が誕生した。

序盤で描かれる屈辱のエピソードがこの映画の成功を決定付けている。マークとホーの絆を描きながら裏社会の非情さをも冷酷に語っている。ここは会話で展開されるのが最良であり、映像で見せなくて正解。このエピソードがあることで直前の二人の戯れる場面に深みが出る。

ホーに比べてキットの作りこみは甘い。しかし素朴な青年を演じる天才レスリー・チャンの芝居がそこを穴埋めをしており視聴者の感情移入に多大な貢献をしている。彼がいなければこの話を約90分の尺に収めるのは極めて困難だ。

一つ疑問があって、ホーの家が襲撃される悲劇のシーンを「ドンパチとして演出」しているのはどういう事なんだろうか、ジャッキーの行動もコメディチック。ジョン・ウーのような一流がこういった奇怪なことをする理由がまったくわからない。銃撃戦に比べて肉弾戦の演出が素で下手なのだろうか? これらの演出もまたレスリーの演技に救われている。

クライマックスでシンが足をひきずった瞬間は鳥肌もの。最後の最後まで掛け合い、銃撃戦ともに妥協しないジョンウーの仕事は最高だ。わたしはこの作品のユンファに熱くなったわけではなく、ホーの足かせが沁みたクチなので、あらすじを読んだ時点で続編を見るのが嫌でたまらない・・・見るけどね(笑)

(評価:★5)

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