[コメント] パープル・レイン(1984/米)
この映画には物語はほぼ存在せず、音楽演奏部分以外はプリンスの自己実現の話となっている。
私は彼の音楽と余り相性が良く無かった人間だ。私にとっては彼の音楽の捉え方を書く事が、この映画について書くのと同義になるだろう。
私は昔はロックを中心に音楽を聞いていたが、今はリズムミュージック全般を聞くように変わった。リズムミュージックでは、大体において黒人が作ったリズムの型が白人音楽に吸収される事で変化が起こっている。プリンスは1980年代に全盛期を迎えた訳だが、その頃の黒人ミュージシャンはMTV等で圧倒的少数派だった。(日本でも露出は凄く限られていた。)その中で彼はロックよりの音を選択して成功した。(日本でも彼が他の黒人ミュージシャンより知名度が高いのは、ロック雑誌に載っていた点が大きい)
ただ、私は白人音楽から黒人音楽にノリを求めて乗り換えたので、プリンスの作る音楽はノリがどうも黒く無い曲が多いと感じた。彼の曲やサウンドに生理的な忌避感があった。(ロックファンがファンクのノリが余り判らないのと同根の問題。)あと、プリンスはワーナーと喧嘩したために、全盛期の作品が殆どリマスターされておらず、リズム音の音圧を重視する私の音楽の聞き方とは非常に相性が悪かった。(追悼でリマスター版を出して欲しい。)
とはいえ、プリンスが黒人ミュージシャンの歴史でも十指に入る才能の持ち主である事に私も疑いは無い。ジャム&ルイスやディアンジェロ、ティンバランドのように影響を受けた後続のミュージシャンが大成することも続くだろう。
ミュージシャンがロックな態度であるか否かは評価の対象になってきた。評論家が自分のイデオロギーの正当性のために使う歴史も観てきた。私は音楽のノリ(ロックン”ロール(転がるノリ)”)が好きな人間で古のロックラジオから続くノリが人種を問わず躍らす力を信じている。
この映画で私が一番好きな楽曲は" I Would Die 4 U"だ。ドラムの”チキチキチキチキ”という音のノリは私が求めるものだ。見事なファンカティアーでロックン”ローラー”だった。
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