[コメント] 恋のエチュード(1971/仏)
フランスの恋は壮年から、このくらいは練習、という邦題なのだろうか。タフなものである。
**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。
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撮影を観る映画なんだろう。前半の傾斜面(ロケはフランス内)と室内灯の連発は素晴らしく、レオーと姉が旅する島における一箇所だけの長回しもいい。これらがなくなる後半は地味。
この画が撮りたいがための原作セレクトなんだろうと思わざるを得ない。小説自体もこんなもんなんだろうが、長編を駆け足でかいつまむ話法がまた徹底的に退屈。後半立ち止まるかと期待したがそのまま駆け足で筋をなぞって終わり。姉が結核で死ぬ唐突さは大映テレビ並に通俗だし、妹のピューリタン的人生観に何かが浮かび上がることもない。ラストのレオーの、プルーストみたいな老年の詠嘆は空疎だし、空疎に対する批評がある訳でもない。
この正に自慰的な古臭い貴族ロマンのセレクトは、左傾化したゴダールと一対で捉えるべきなんだろう。フィルム切り刻んだゴダールに対して映画の豊穣を継ごうとしたトリュフォー。しかし出てくるのがこの程度の話では、ゴダールが恋しくなるばかりである。
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