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[コメント] 冬の光(1963/スウェーデン)

ベルイマン「神の沈黙」3部作の第2弾。難しい。めちゃくちゃ難しい。感想書けないから観なかったことにしたい。
ペペロンチーノ

**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。

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オリヴィエ・アサイヤス『冬時間のパリ』で「ベルイマンの『冬の光』かっ!」みたいな台詞があって(<そんな言い方じゃない)、どんな流れで発せられた台詞か覚えてないんだけど機会があったら観てみたいと思っていたらやってるんかい!という訳で、この映画の存在を知ってからわずか1週間後に鑑賞。制作から半世紀以上も経ってるのに。

私はベルイマンを正しく通ってこなくて、観始めたのがここ数年。 数多の映画監督達の尊敬を集め、「愛と憎悪」「生と死」などが主なテーマで本作も「神の沈黙」3部作の第2弾だとか言われたら、いやもう敷居が高くてねえ。 実際、この映画も難しいんですよ。感想書けずに観なかったことにしたいくらい(笑)。

ベルイマンの父親が厳格な牧師で且つ母を虐待するDV男で、それが神への不信になったそうだ。あるいは、子供の頃からエロ少年で大人になって5度も結婚と離婚を繰り返した、なんて話も聞く。 そう考えると高尚さや神格化にビビってたじろがずに、作品を理解する手掛かりになりそうな気がする(難しいことは難しいんだけど)。自身の経験を切り売りする「私小説」のようにも思えてくる(必ずしも自伝的ではないんだけど)。

実にアップが多く、顔が物語る映画だ。 グーッと寄るアップなんかは後にスピルバーグが多用する(<同じことを『第七の封印』で書いていた)。 途中カメラが外に出るシーンもあるが、実は室内劇でもある。なんか、魚眼レンズでも使ったんか?と思うような撮影もある。

印象的なのは、ワーッと差し込む光と、面倒くさい女を罵る言葉。 前者は「神」に関わる重要な場面なんだけど、後者は「面倒くさい女に浴びせる罵倒の全て」かと思える神台詞。

実はこの映画、「神の沈黙3部作」じゃなくて、「女って面倒くさい3部作」なんじゃねーの?

少し真面目なことを書くと、終末戦争(原爆)への恐怖と「神」への祈りが描かれます。 まるでタルコフスキー『サクリファイス』(ちなみに『サクリファイス』の舞台はスウェーデンで、主人公の名前はアレクサンデルだ。さらに言えば撮影は同じスヴェン・ニクヴィスト)。 私はここに「神の沈黙」の一端が見える気がするのです。圧倒的な暴力の前に信仰は無力なのか?

(2020.01.02 ラピュタ阿佐ヶ谷にてデジタルリマスター版を鑑賞)

(評価:★3)

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