[コメント] 6IXTYNIN9 シックスティナイン(1999/タイ)
映画を見終った人むけのレビューです。
これ以降の文章には映画の内容に関する重要な情報が書かれています。
まだ映画を見ていない人がみると映画の面白さを損なうことがありますのでご注意下さい。
この作品の前後にアレハンドロ・ゴンザレス・イニャリトゥの『アモーレス・ロペス』とか『ノルウェイの森』とか、『ロスト・ハイウェイ』とかを見たからだと思うのですが、この一見どうしようもないギャグか何かわからない程の状況設定を最初の方は面白がって笑って見ていましたが、冒頭の作品とこの作品の差異っていうのはいったい何だろう????とか考えてしまうわけですね。
そうするとですね、これ笑えないんですよ。
一度人間が罪を犯すととめどなくなってゆく。
そんな過去の映画とか文学(小説)などで言いつくされたありきたりなことが、この映画の中ではどんどん無感覚になっていって、最後の最後に親友の女性までも死んでしまった、とにかく次々と誰もかれもが死んでしまう。この無感覚に陥る自分が怖くなるような映画でした。
きっとこの映画を臨場感たっぷりに見た方も多いでしょう。
(明日は我が身だと思います。)
会社をリストラされ、どうしような迷っているところに、突然意味もなく大金が送られてくるわけです。
そこで主人公の女性は悩みますね。
友達に「もし目の前に大金があったらどうする?」などと常軌を逸した電話をかけます。
すると友達の女性は「額が小さければ使う。大金だったらつかわない。」などともっともらしい返事をします。これ案外当たり前のようで、なかなか出てこないセリフですよね。
そしてこの大金をめぐって次から次へと彼女の部屋に色々な人物がやってきて、そして次々に死んでゆく。
ここは笑う場面でしょうが、だんだん笑えなくなってゆきますね。怖いですね。
そして最後に彼女は大金を沼地に放り出して終わるんですが、これだって怖い。
だって沼地には彼女が殺した人が何人も沈んでいるんですからね。
人の命と大金を同列に扱ってしまっていますね。
これかなり怖い。
仕事を失った人間の手元に落ちてきた金をめぐって倫理とか正義とか宗教などが入り乱れて、本当の人間の性とは何かを問う、かなり強烈な作品です。
決して悲劇的な作りになっていないだけに、観終わってゾワーーーっとした恐怖感が襲ってくるような、そんな不思議な映画。
こんな面白い映画これまで見たことありません。
最高です。
2011/01/01 自宅
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