[コメント] BROTHER(2000/日=英)
映画を見終った人むけのレビューです。
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北野武作品の多くに共通する点だが,この作品も「静寂」という言葉がよく似合うと思う。実際,作品中で放たれた銃弾の数,無惨に殺された人の数は相当なものだが,それにもかかわらず実に静かな雰囲気のする作品に仕上がっているのは,やはり独自の世界観を築き上げているからだろうと思う。
ただし,この作品で描かれていたやくざの義兄弟の心理,武士道や葉隠れにも相通じる日本的な精神が,アメリカ人に理解されたかどうかはわからない。この作品が海外でこれほど評価されたのは,その精神が理解されたというより,珍しがられた結果なのかもしれない(もちろん,上述した点も含めた北野武独自の世界を構築している点もあるのだろうが…)。
なお,他の方のコメントにもあったが,ラストで,兄貴(ビートたけし演じる主人公)に逃がしてもらった子分の黒人が独白するシーンは要らないという気がした。あそこは,主人公が撃たれ倒れているシーンまでで十分ではなかっただろうか? もし,あの黒人が最後の最後で兄貴の気持ちを理解できたことを外国人にもわかるように表現したかったというのなら,独白シーンは兄貴が撃たれる前に入れた方が良かったと思う。あるいは,あの位置に入れるのなら,黒人が兄貴に心から感謝している時に,車のリアガラス越しに追ってくるマフィアの車が現れて迫ってくる,黒人は気付かない…という風にしたら良かったかもしれない。
という訳で,この作品は独特の雰囲気があって良かったのだが,ラストも含めてどことなく物足りなかった点と,なぜこの主題を描くのに主人公達がやくざでなければならなかったか,何人もの人を殺さなければならなかったのかが,もう一つ釈然としなかったので,点数としてはこの程度だと思う。
あと,クレジットについて,監督は北野武,出演者はビートたけしとなっているところは,たけしの映画に対するこだわりを感じるとともに,ちょっと微笑ましかった。
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