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[コメント] シベリア超特急2(2000/日)

「私が本当にやりたかったこと…、それは映画を撮ることではなく、エルキュール・ポワロを気取ることだったんだよ」と、ラストに山下閣下が棒読み口調で告白するかと思った。それにしてもいつも逆恨みされる山下閣下って、よほど人望がないのね。
ワトニイ

**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。

これ以降の文章には映画の内容に関する重要な情報が書かれています。
まだ映画を見ていない人がみると映画の面白さを損なうことがありますのでご注意下さい。







《以下、「オリエント急行殺人事件」のネタバレもありますので、ご注意を!!》

この作品、クリスティの有名な『オリエント急行殺人事件』のパクリ…いや、もとい、『オリエント急行』に捧げるオマージュのような映画だと思う。たまたま居合わせた赤の他人同士が実は共犯だったという設定もそっくりだし、ラストで探偵が犯人たちを見逃してやるところまで殆ど同じ。

問題は、『オリエント急行』の犯人たちには大掛かりな殺人を行うだけの動機がちゃんとあったのに、本作の犯人たちの動機の多くは山下閣下への逆恨み(笑)だという点。どう見ても現実離れし過ぎている。しかし、第1作といい本作といい、敵から命を狙われるのはともかく、組織の一員なのにこれほど恨みを買う山下閣下って、よほど人望がないのだろうか?(笑)

また、閣下に真相を暴かれた後、あんなに恨んでいたはずの犯人たちの恨みが霞のようにどこかへ消えてしまい、いきなり良い人たちになってしまっているのも、すごく変。全編通して描いてきた犯行は、一体何だったんだ?!

閣下は相変わらず「戦争は絶対にいかん」と能天気につぶやくが、水野晴郎の戦争に対する考え方としてはわかるが、帝国軍人にそんなセリフを言わせちゃダメだと思う。

一方、本作は、推理物としても映画としても第1作よりはるかにまとまっている。閣下の超常的な推理も影をひそめ(笑)、一応、探偵らしくなっているし、ストーリーもそれなりにうまくまとまっている。

水野晴郎は、この作品で監督に飽き足らず、関係者を一堂に集めて謎解きをしてみせるエルキュール・ポワロのような名探偵を演じたかったのではないかと思う。さらに、そればかりか、一時容疑者となることによって犯人役を、さらにピストルで撃たれることによって被害者役もやってしまったのだろう。惜しむらくは、相変わらずの棒読み口調。周囲が演技派女優ばかりだったために、余計に目立って笑えること、笑えること。でも何だかんだケチを付けながらも面白かった。「いや〜、水野晴郎ってほんとにすごいですねぇ〜。」

(評価:★4)

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