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[コメント] クリムゾン・リバー(2000/仏)

ってゆうか、ミステリーじゃないのよ。「なんとな〜くミステリーっぽい」雰囲気があるだけ。
G31

**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。

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謎をいくつも提示して、矛盾だらけの回答をつぎはぎしていくから、ミステリーっぽく感じさせることは間違いないけど、ストーリー全体として一つの謎を解くような構造になってないでしょ。

動機についても、要は復讐なんだけど、何に対する復讐かが判然としないから、結局動機不明。全編こんな感じ。

迫力のラストと遊び心あふれるアクションは、原口氏の言うとおり「ハリウッドと遜色ない」。加えて、「優生学」というテーマもそうだが、舞台背景やキャラの描き方など、ヨーロッパならではの重厚な雰囲気はある。でも結局雰囲気だけしか伝わってこない映画。

だがこれが実話に基づいてる話だとするなら、実にシンプルに解釈することが可能。おどろおどろしく描かれる大学は全然普通。異常なのはやはり真犯人の女の方で、彼女は神戸事件のサカキバラや日航機ハイジャック&機長殺しの西沢と同じように、世間と隔絶した自我を形成し、膨張した自己顕示欲を誤った方向に発露しちゃったまでだ、と。「私はこんなことが出来るのよ、すごいでしょ! 私はすごいやつなのよ! 私を見て!」てなもんだ。

まあ、パラノイア気味で妄想癖のある母親の影響で、世間から身を隠して生活せざるを得なかったが故に形成された自我だから、ある程度同情の余地はあるが。母親からの遺伝的な要素もあるだろうしね。

で、ここまで考えると、タイトルの「クリムゾン・リバー」は映画の中では「優生学を実践するエリートの血筋」を意味すると説明されるが、暗にそっちの方の意味を込めているのかな、という解釈も成り立つよね。

そこまで考える必要のない、単に雰囲気を楽しむ映画だってところがまた「ハリウッド的」ですけどね・・・・・。

80/100(01/03/31見)(06/30書直)

(評価:★4)

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