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[コメント] さらば愛しき女よ(1975/米)

映画が上映される前のチラシから気になって気になって、だから見たときはもう感動して、そして何となく大人になったような気分にさせられて、ガキのくせにかっこつけて映画館を出てきた自分が、今とても恥ずかしい。
chokobo

マーロウ役で最高はやはりハンフリー・ボガード。でもチャンドラーはむしろこのロバート・ミッチャムとか『ロング・グッドバイ』のエリオット・グールド(私、この人も好きなんです)とかのように、失礼ながらくずれたマーロウをイメージしていたのではないかと思わせます。

チャンドラーものはいずれも面白くて、どの作品も大人びていて魅力的ですが、マーロウものだけではなくビリー・ワイルダーや西部劇で有名なハワード・ホークス、あるいはヒッチコックと組んで脚本を書いたりしていて、その人脈と同じイメージに固執しない淡泊なところがユニークですね。マーロウのイメージはチャンドラー自身なのかもしれませんね。

この映画は監督のディック・リチャーズと脚本のデヴィッド・Z・グッドマンの代表作となりました。この映画で決定的なのは映画の画面の中にある時代と音楽、アメリカの40年代がこういう雰囲気だったのかなあ、かっこいいなあと思わせる環境ですね。役者も見事に時代を反映してマッチしてますよね。

そしてなんと言ってもシャーロット・ランプリングです。今も大好きですが、この不思議な美貌、謎めいた雰囲気、いずれの作品もチョイ役でも見る者の脳裏に焼き付くあのイメージはこの映画全体を見事に支えています。彼女はもともとイギリス人ですね。気品があって保守的、誰にも影響されないわよ、という姿勢を感じます。そしてイタリアでヴィスコンティに鍛えられて、恥も外聞もないすっぴんの自分を見いだします。それが後の彼女の演技に反映されてますね。素晴らしいです。

ロバート・ミッチャムもいいですね。スリーピング・アイ、眠そうな顔。探偵稼業で疲れるマーロウを見事に演じています。1943年から映画に出演して、たくさんの映画に出演していますが、デヴィッド・リーン監督の『ライアンの娘』から演技が変わりましたね。そしてこの映画とマイケル・ウィナー監督の『大いなる眠り』でマーロウのイメージを決定的にしました。

(評価:★4)

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