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[コメント] メフィストの誘い(1995/仏=ポルトガル)

17世紀に描かれた宗教画(例えば僕の知る範囲で言えばエル・グレコの絵画)のような雰囲気を持つ映画。
Keita

**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。

これ以降の文章には映画の内容に関する重要な情報が書かれています。
まだ映画を見ていない人がみると映画の面白さを損なうことがありますのでご注意下さい。







 映画の中で起こった出来事の後、ジョン・マルコビッチ演じる教授はシェイクスピアの研究を諦め、オカルト学に没頭している、と記された後日談を見て、妙に納得できる部分があった。この映画は静かに静かに展開するが、根本的にはオカルト映画だったのだ。「映画はアートでなければならない」と『永遠の語らい』の際のインタヴューで答えたオリヴェイラが作ったこの映画は、芸術性に包まれたオカルト映画だ。宗教画のようなイメージがこの映画にはある。

 劇中、何度となくゲーテの「ファウスト」に対する言及がなされるが、オリヴェイラは『アブラハム渓谷』ではフローベールの「ホヴァリー夫人」を映画化し、『家路』ではマルコビッチ演じる映画監督が映画化する題材としてジョイスの「ユリシーズ」を使用していたので、その選択もオリヴェイラならではのものに思う。

(評価:★3)

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