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[コメント] 暁の合唱(1941/日)

冒頭の娘の自立した決意からして、石坂洋次郎は戦前からすでに石坂洋次郎だったのに驚く。
寒山拾得

**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。

これ以降の文章には映画の内容に関する重要な情報が書かれています。
まだ映画を見ていない人がみると映画の面白さを損なうことがありますのでご注意下さい。







様々な出来事が木暮実千代の結婚観に収斂していくのがちと退屈だが、見所は一杯ある。バスのエピソードはどれも面白い。飯田蝶子は傑作だし、バス中の出産も面白い。ひと騒動済んだあと、河原で投げ捨てられた靴を私のだわと拾い上げる、我に返った木暮の件は白日夢のようなリアルがある。

バス脱輪の件もいい。その瞬間の唐突さの描写はスリリングだ。非石坂な嫁ぐ娘、なんて女優さんだろう、一言も喋らぬ彼女の眼差しがユーモア映画の異物として不思議に機能している。牛に乗せられ橋を渡る彼女の後ろ姿を、河原からいつまでも見送る木暮、この場面は曰く言い難い詩情に溢れていて、心に残る。

(評価:★4)

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