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[コメント] トラフィック(2000/独=米)

「麻薬」という重大テーマに挑みながら、「いやぁ〜、麻薬問題は重いテーマなんですよぉ」とだけに終始している衝撃性も爽快感も得る所が何も無いクソの役にも立たない映画。これを見たアメリカ人はきっと思う、「麻薬問題は難しいなぁ」。それでどうなる!?
HW

**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。

これ以降の文章には映画の内容に関する重要な情報が書かれています。
まだ映画を見ていない人がみると映画の面白さを損なうことがありますのでご注意下さい。







大変長い映画だが、長さは感じさせない。役者は良いし、演出も骨太だと思う。しかし、全体としてどこかイマイチ。2時間半も使ったわりに、一歩深く踏み込む訳でもなく、漠然と現状を見せられただけに思えた。監督は「観客を教育する意図は無い。エンターテイメントとして観客を引き込み、同時に問題の存在を伝えたい。」などと言っていたが、この映画のどこをとっても、当のアメリカ人が知らない事柄には思えないし、もしも「あんなお坊ちゃん・お譲ちゃんまで・・・!」「軍人まで組織に加担しているなんて・・・!」などと今更驚くようでは、それこそ救いようが無い。映画で見るのだから、定期的にある一般TV番組程度の内容しか触れないなら、いっそ説教でもしてくれた方がスッキリして良かった。

また、もう1つ気になったのはキャサリン・ゼタ・ジョーンズの行動。自分と子供の生活の危機から、裏社会に入っていくのも共感出来ないのだが、それ以上に自分に大きな嘘をついていた夫とまた一緒に生活したくなるのが納得出来ない。夫が実は麻薬密売の大物で、古い知り合いにも容赦無い冷酷な男だと知って、再び信頼出来るだろうか?自分と子供達の将来を考えての行動としては、あまりに理解し難く、不適格に思える。せめてもっと葛藤シーンがあれば、説得力を持ち、さらにドラマが深くなると思うのだが。

他にも証人護衛のやり方(車ぐらい見張れ!食事にも注意だろ!)などもリアルに思えず、疑問が多かった。また、あの色分けも面白い手法ではあるが、私的には色自体が安っぽく感じられ、どうかと。

1級の出来である事は認めるが、どうもしっくりこない。見ている間は飽きなかったものの、わざわざ見た価値が感じられなかった。結局、「そんな事は分かっている!だから?」的感想しか持てない。ところで、監督だったか脚本家だったかが「個人ではなく、システムが悪いと思う。」と述べていた気がするが、それも何だか正論ではあるが、進展を生まない無責任な見解に聞こえた。そもそも「システムが悪い」なんて言い出していたら、有効な議論にならないのが社会問題なのでは。映画自体も何だか正論揃いで間違っている事は1つとして主張していないが、同時に何1つ特別に与えてくれない空虚なモノに感じられた。

(評価:★3)

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