[コメント] ショコラ(2000/米)
人生はチョコレートのように甘くないというテーマは 些か表面的すぎるきらいもあるのだが、それよりも問題なのは その人生さえもチョコレートが生み出す力で乗り越えて魅せる部分が この映画ではそのチョコに人生を吹き飛ばすだけのパワーが見えてこない、 もしくは見せていても説得力に欠けるというところなのである。
人生が厳しいのは至極当然であり、それをショコラの魅力で乗り越えるあたりに この映画の面白さが出てくると思うのだが、それが巧く作品に表れてこなかったのが残念。 -------- 事情があるとは言え、口の中に入れたチョコを吐き出したり、たった一口でチョコケーキを食べるのを止めたりと、このチョコレートは本当に美味しいのか?と疑問に感じてしまう。また、村全体の問題なのに村という空間の広がりが感じられなかったのもマイナス。村の伝統の為に悪質な嫌がらせをする村長、ヨソから来て勝手に村の伝統をぶち壊そうとする主人公、どちらもキャラ造形があまりにお話的で、まるで感情移入できない。単に“良いお話”という程度で、映画としてはやや物足りない。
箱庭的な話とはいえ、路地と教会、そして川辺だけの広がりというのもどうかと。 一つの村で起きた小さな事件であるのに、その村という印象がまるで感じられなかった。
チョコレートに関しても、本当に美味しければ吐き出す事など考えないはず。 ましてや、子供に出したチョコケーキが一口で返されるなど、 『ショコラ』というこの映画のタイトルを疑問に思ってしまう。
相変わらずラッセ・ハルストレムの映画は 優等生な作りのものばかりのようだ。ちょっと食傷気味である。
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