[コメント] レクイエム・フォー・ドリーム(2000/米)
映画を見終った人むけのレビューです。
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こんなところで書くのもなんだが、『π』はよくわからなかった。何か映像だけが先走りして、何がやりたいのか凡人の私にはわからなかった。
しかしこの作品は原作があるせいか、原作者が脚本にも携わっているせいか、シンプルなストーリーラインで、理解に苦しむことはなかったのが好印象。
この映画を単純に「麻薬はここまで人を壊す」というメッセージ映画と見るのもアリかもしれない。しかし、誰かもコメントしていたが、この素材を使って存分に映像を作り込みたかったのではないかという考え方もある。
というのもだ、麻薬が身体によくないなんてことは、映画を観にいく連中は百も承知だ。「ちょっとくらいいいんじゃないの」とか思う輩もいるかもしれないが、そんな連中には何をどう言っても効果的ではないようにも思う。
この作品のラストは最後の最後を除いて救いというものがない。主人公達は全員崩壊し、誰一人として人としての「つながり」を取り戻すことができない。それを余計な説明を省き、記号的な映像で見せるのは、作り手としては下手なホラーを作るより楽しいとは思わないか。私はこの監督がそれを楽しんでいるような気がしてならない。
最近では『スナッチ』とかが映像のスクラッチとも言えるリズミカルな映像を見せているが、私の印象ではこの作品が最もその映像的効果を成功させているように見える。作り手も観客も映像に集中できるのだ。
さらに、人間嫌いと言われるスタンリー・キューブリック監督の大作『2001年宇宙の旅』のラストを彷佛とさせる主人公達の“胎内回帰”などは、ハッピーエンドにすら見える。大いなる現実逃避(殻にこもる)という風にも見えるけど。
とにかく個人的には『π』よりわかりやすいというだけで満足。純粋に楽しめた。映画ならではの楽しさを味わうことができた。
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