確かに、畳みかけるような映像には引き込まれるし、鬼気迫る演技も見応え十分。

　でもねえ……結局「ヤクはこの通り、怖いですね」というところで終わっちゃうのはいかがなものか。麻薬が怖い、ということを単に伝えるだけなら道徳の時間のスライドでもできるわけで、それを物語に昇華させる以上、墜ちるだけ墜ちたその先に何かもう一ひねりした展開を見せて欲しかったところ。

　細かいところで気になったのは、中毒者が見る悪夢が類型的に思えたこと。テレビの出演者が部屋にやってくるあたりなんて、いかにもありがちだし陳腐。あと、今どき精神病院で電気ショックはないだろ、いくらなんでも……。