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[コメント] 柳と風(1999/日=イラン)

雨時々晴れ、暴風に注意。
すわ

**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。

これ以降の文章には映画の内容に関する重要な情報が書かれています。
まだ映画を見ていない人がみると映画の面白さを損なうことがありますのでご注意下さい。







オープニングの教室のシーンでは大雨、友達にお金を借りるシーンでは快晴、しかしガラス屋からの帰り道では暴風が吹き荒れ、学校にたどり着く頃にはまた雨が降り出す。そしてラストのあの美しい夕焼け…。たった一日の出来事なのに、この天気の変わり様には驚いた。場面によって次々に変わる天気は、この地方の特徴か、はたまた演出か。ただ天気が変わるだけで、これほどハラハラした映画も少ない。

そして同時に、とても懐かしい感覚に襲われた。イランへは一度も行った事がないし、どちらかといえば都会で育った私だけど、この映画を見ているうちに、自分の小学校時代が鮮やかによみがえってきた。

例えば、授業中、外の雨に見とれてしまうシーン。少年達が雨の中、木々の間を歩くシーン。団地のようなアパートの窓から顔を出す、友達の幼い妹。口でハァハァ息をしながら歩く少年の姿。怖くて「止めて」って叫んでも、「大丈夫大丈夫」ってなかなか止めてくれない二人乗り。

私が小学生の頃、体験したことばかり!だって小学生の時、教室から見る大雨と暗く染まる空の色は、私の心を無性にわくわくさせたもの。小学生の頃は、雨や風の音、土や草木の匂いを、今よりずっと身近に感じていた気がする。雨の日が嫌いになったのって、髪の毛が湿気で爆発するのを気にし始めた頃だから、思春期の中学生の頃からだったかなあ…。

最後、ガラスが割れてしまった時、ハラハラしながら見ていた私は「ほら!!言わんこっちゃない!」ってつい叫んでしまったけど、子どもの頃って、経験が少ないから、割れないって信じちゃうんだよね。私も子どもの頃、明らかに不安定な物の上に牛乳瓶を置いて、ガチャーンと割ったことある。ガラスが割れた後、何も言えずに、振り向けなかった少年に胸がジンとした。少年の気持ちがなんだか妙に懐かしくて、ちょっと切なくなった。

(評価:★4)

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このコメントを気に入った人達 (1 人)埴猪口[*]

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