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[コメント] グレンとグレンダ(1953/米)

意外と面白かった。確かにいい加減で滅茶苦茶な作りなんだが、この異様な世界観は得難いものがある。
太陽と戦慄

要するに、これはエド・ウッドが自身の女装趣味を世間に認めさせるために作った映画なんだろう。言いたいことは非常に分かりやすい、直球ド真ん中だ。なのに出来上がった作品は超シュールな実験映画になってしまった。

普通の映画ならば、直截的に訴えかけるようなメッセージ性もうまくストーリーの中に組み込むことで説得力を持たせるものだと思うが、この「グレンとグレンダ」の場合は、ウッド本人の主張が延々と台詞やナレーションによって垂れ流されるだけなのであり、しかも、その主張というのもところどころ中学生の屁理屈みたいでなんかズレている。

そして、そういう主張性とは全く無関係にウッドの斬新な(?)演出が随所で光る。これを観ると、ウッドがデヴィッド・リンチに与えた影響というのもよく分かる。むしろ、ウッドのほうがリンチと較べて遥かに天然であると思われる分、その予測不可能な映像表現が刺激的であると言っても過言ではあるまい。

とにかく歪な映画だが、そこが魅力でもある作品だ。

(評価:★3)

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